逆さまの生命の木『闇のカバラ』と現代権力の秘教的起源


カバラの象徴体系を逆転させた「闇の生命の木」という概念を中心に歴史と神秘主義を織り交ぜた暗黙の物語を構築している。

その核心には、光へ向かうべき霊的な上昇を拒み深淵へとエネルギーを引き込むように設計された逆さまのアーキテクチャーが存在する。

現実の世界権力の隠された構造そのものだという世俗的なシオニズム、フリーメーソンの啓蒙主義、イエズス会の宗教的権謀、そしてサバタイ・ツヴィに端を発する異端的なユダヤ神秘主義がこの「逆さまの木」の各セフィラに配置され、ひとつの巨大な支配システムとして機能しているというのだ。

この物語の起源は17世紀に遡る。

サバタイ・ツヴィという偽メシアが現れ、救済は罪深き行為を通じてこそ達成されると説きユダヤ教の伝統を内側から蝕んだ。

その教えはヤコブ・フランクによってさらに極端な形で継承され性的な儀式や意図的な背教が「浄化」の手段とみなされるようになった。

一方、イルミナティの創始者ヴァイスハウプトやフリーメーソンのアルバート・パイクは霊性を欠いたまま秘儀の形式だけを模倣し政治的操作の道具として利用した。

そしてロスチャイルド家を筆頭とする金融勢力、シオニストの政治運動、イエズス会の権力戦略がこの「逆さまの木」マルクト(物質世界)へと全てをしゅうれんさせる。

この構造の中心には「腐敗したダアト」が位置する。

本来、ダアトは隠された真の知を意味するが、ここでは知識が歪められ偽りの合意が現実として構築される場となる。

言語と論理(ホッド)は嘘の体系へと転落し、宗教的権威(ネツァク)は人々を幻惑するための仮面と化す。

そしてすべては、グノーシス主義が説く「偽りの神デミウルゴス」が創造したこの世界の本質不完全でぎまんに満ちたシミュレーションを維持するために機能する。

この物語が暗示するのは、現代の政治的・経済的・宗教的な権力機構は単なる偶然の産物ではなく何世紀にもわたって入念に設計された「反転した霊性」の具現化だということだ。

シオニズムは本来のユダヤ的霊性から逸脱した物質主義的プロジェクトとなりフリーメーソンは崇高な理想を捨てて権力の道具となりキリスト教ですら人々を真実から遠ざける「ベール」として機能する。

そしてこのシステムの究極の目的は、人間の魂を「罪と支配の永続的な循環」に閉じ込めることつまり、真の神的な光から切り離し深淵へと縛り付けることにあるという。

この解釈はあくまで特定の秘教的視点に基づくもので、歴史的事実を複雑な思想的潮流を善悪二元論へと押し込めたものだ。

サバタイ・ツヴィの運動は当時のユダヤ社会においても異端とされフリーメーソンやシオニズムの多様性は無視されている。

それでも、このような物語が持つ力は人々が感じる「見えない力に操られている」という不安や現代世界に対する根源的な不信感に応えるものだからだろう。

それは光を求める者にとっては警告の物語であり、闇を信じる者にとっては世界の隠された真実を暴く啓示となるだろう。

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