世界中に伝わる神話や象徴に隠された一つの壮大な真実について。遥か昔、中国の神話に伏羲と女媧という二柱の神がいました。彼らは人間の頭に蛇の体を持ち、その尾を絡み合わせています。この姿は一見すると不思議な図像ですが実は宇宙の根本原理を表現しているのです。彼らが手にしているものに注目してください。一方はコンパスを持ち、もう一方は矩(さしがね)を持っています。コンパスは円を描く道具であり精神性や天の原理を象徴します。矩は直角を測る道具であり物質界や地の原理を象徴します。天と地、精神と物質、男性性と女性性、これらが絡み合い交わることで初めて宇宙は誕生したというのです。
そして驚くべきことに、この二匹の蛇が螺旋状に絡み合う姿は現代科学が発見したDNAの二重らせん構造と完全に一致します。つまり古代の人々は生命の設計図そのものを神話の形で表現していたのです。
さらに彼らの体が交わる中心点、そこにはしばしば三角形が描かれます。この下向きの三角形は神聖な女性性エネルギーが天から地へと降りてくる姿を象徴しています。精神が物質化し目に見えないものが形となる瞬間です。インドのタントラではこれをシャクティの降下と呼びユダヤのカバラではビナーのセフィラとして表現されます。同じ真理が異なる言葉で語られているのです。
ではなぜ伏羲には牛の角が生えているのでしょうか。牛の角は古代より力と豊穣の象徴であり生命力そのものを表します。この生命力こそ中国で「氣」と呼ばれるものです。氣は天地を流れ和多志たち人間の体内も巡っています。伏羲は、この宇宙的なエネルギーそのものの源として描かれているのです。ここで盤古の神話を思い出してみましょう。天地開闢の時、混沌の中から盤古が現れ天と地を分けたとされます。この分離によって初めて「差異」が生まれ、その差異が交感することで万物が生まれました。これが陰陽の基本原理です。陰陽は対立しているようでいて実は互いに補い合い一方がなければ他方も存在しません。陰の中に陽があり陽の中に陰がある。伏羲と女媧が向かい合う図像はこの相互浸透を表し背中合わせの図像は二つで一つでありながらそれぞれが独立した完全性を持つことを示しています。
ここでさらに深い次元に目を向けてみましょう。エゼキエル書に登場するメルカバは、上向きと下向きの二つの四面体が回転することで構成されます。これは人間の体内にも存在するといわれ天のエネルギーと地のエネルギーが螺旋状に交わる地点に生まれます。伏羲と女媧の絡み合う蛇身は、まさにこのメルカバ的なエネルギーの流れを視覚化したものではないでしょうか。古代エジプト人は人間の構成要素を「カ」と「バ」に分けて考えました。カは肉体に宿る生命力であり、バは自由に動き回る魂のようなものです。この二つが合一することで真の人間が完成するとされました。
これらの象徴が教えていることは明白です。世界のすべての宗教や神話は表現方法こそ違えど同じ一つの原初の真理を指し示しているのです。それは「上なるものは下なるものの如く、下なるものは上なるものの如し」というヘルメス思想の根本原理であり宇宙は一つの法則に従って創られ人間もまたその法則の縮図であるということです。
この真理を理解する時、現実のより深い層に触れることができます。目に見える物質世界だけが全てではなく、その背後には形而上の世界が広がっています。そしてその二つの世界は別々に存在するのではなく互いに織りなす壮大なタペストリーを形成しているのです。
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