意識の拡張か悪魔の誘惑か。ホフマンとジョブズが追い求めたもの

スティーブ・ジョブズがLSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)の使用を公言し、その創造性への影響を語ったことはよく知られています。

しかし、LSDの開発者であるアルバート・ホフマン(Albert Hofmann)を「偉大」か「悪魔の使者」かと単純に二分することは歴史的・文化的な文脈を無視した議論になりかねません。

以下、多角的な視点からこの問いを展開します。

科学者としてのホフマンの「偉大さ」

アルバート・ホフマンはスイスの化学者で1938年にLSDを初めて合成しました(当時は医薬品としての用途を探っていた)

1943年に自らLSDを摂取し、その強力な幻覚作用を発見したことで知られます。

彼の業績には次のような意義があります。

 科学的好奇心と偶然の発見
ホフマンは意図的に「幻覚剤」を作ったわけではなく麦角菌の研究過程でLSDを合成しました。

その後、自身の体験を通じてその作用を記録し科学界に報告しました。

これは科学史上の重要な発見とされている。

 精神医学への貢献
1950~60年代、LSDは統合失調症の研究や心理療法の補助として実験的に使用されました。

現代のサイケデリック療法(PTSDやうつ病治療)の先駆けとなった面もあります。

しかし病気が治っては病院は継続できないのも事実。

病院は患者に薬を与え続ける教えがあります。

なぜ医師は栄養、ハーブ、日光、ホリスティック治療についてほとんど知らないのか?その背景にある歴史的真実

哲学的な問いかけ
ホフマンはLSDの体験を通じて「意識の謎」や「現実の認識」について深い関心を持ち科学と神秘主義の接点を探求しました。

彼自身はLSDを「神聖な薬」と表現し乱用には完全に批判的でした。

「悪魔の使者」という批判の背景

一方で、LSDが社会に与えた影響には負の側面もありホフマンへの批判的な見方も存在します。

 カウンターカルチャーと乱用
1960年代のヒッピー運動でLSDが乱用され、精神崩壊や事故が多発しました。

ティモシー・リアリーなどの人物が「Turn on, tune in, drop out」(ドラッグで現実逃避せよ)と喧伝したことで社会問題化しました。

 規制とタブー化
LSDは1970年代にほぼ全世界で非合法化され医学研究も停滞。

ホフマンは「自分の発見が誤用された」と嘆いています。

 倫理的な疑問
強力な幻覚剤を生み出したことが結果的に多くの人々の人生を破壊したとする見方もあります(ただしホフマン自身は規制の必要性を認めていました)

ジョブズとホフマンの接点

ジョブズはLSD体験を「人生で最も重要な経験の一つ」と語りAppleのデザイン哲学に影響を与えました。

しかし、彼が称賛したのはLSDそのものより「意識の拡張」というアイデアでした。

ホフマンとジョブズの関係は直接的ではありませんが両者とも「既成概念を超える思考」を追求した点が共通します。

結論。単純な二分法を超えて

ホフマンを「偉大な科学者」か「悪魔の使者」かと裁断するのは不適切です。

彼は科学的好奇心から出発し人間の意識に関する知見を広げた。

しかし、その発見が社会に与えた影響は複雑で彼自身も予測不能だった。

現代では、LSDを含むサイケデリック物質が「治療ツール」として再評価される動きもある。

ホフマンの遺産は科学と社会の関係を考える上で重要な問いを投げかけ続けていると言えるでしょう。

「彼は偉大でも悪魔でもない。人間の意識のフロンティアを開いた慎重な探求者だった」

というのが、歴史的な視点に立ったバランスの取れた評価ではないでしょうか。

日本においてLSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)は、覚せい剤取締法および麻薬及び向精神薬取締法で規制薬物に指定されており、所持、使用、売買、輸入・輸出などが法律で厳しく禁止されています。違反した場合、以下のような刑事罰が科せられます。

1. LSDの所持・使用に対する罰則
– 所持(自己使用目的でも違法)
– 懲役刑 1年以上10年以下
– 罰金 300万円以下
※情状により執行猶予がつく場合もありますが前科はつきます。

– 使用(摂取した場合)
– 懲役刑 1年以上10年以下
– 罰金 300万円以下
※尿検査や所持品の検査で使用が発覚すれば逮捕されます。

2. 売買・譲渡・輸入・製造に対する罰則
– 販売・譲渡(他人に渡した場合)
– 懲役刑 1年以上15年以下(営利目的ならさらに重い)
– 罰金 500万円以下

– 輸入・輸出
– 懲役刑 1年以上15年以下 
– 罰金 500万円以下

– 製造(合成した場合)
– 懲役刑 3年以上~無期懲役
– 罰金 1,000万円以下

3. その他の影響
– 社会的制裁
– 逮捕されると、会社からの解雇、社会的信用の失墜、海外渡航制限などの影響が出ます。
– 学生の場合、退学処分になる可能性も。
– 薬物依存・健康リスク
– LSDは強力な幻覚作用があり、フラッシュバック(後遺症的な再体験)や精神疾患の悪化を引き起こす危険があります。

4. 日本での摘発事例
– 空港での輸入逮捕(国際郵便や旅行者の荷物から発覚)
– SNSやダークウェブでの取引捜査(匿名でも警察は監視しています)
– 音楽フェスやクラブでの所持逮捕(薬物検査が行われることが増加)

結論.日本では絶対に手を出さないこと

LSDは「1回の使用でも犯罪」であり社会的人生を台無しにするリスクが極めて高いです。

海外では医療研究が進んでいる国もありますが、日本では一切の例外が認められません。

「好奇心」や「創造性のため」という理由で使用しても法律上は一切考慮されず厳罰が待っています。

健康、法的リスク、社会的影響を考え絶対に避けるべきです。

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