ニュージャージー州がブロックチェーンで不動産登記を革新。2400億ドルの資産が「トークン化」される衝撃

ニュージャージー州ベルゲン郡でブロックチェーン技術を活用した不動産登記の大規模改革が進行中だ。

アバランチ(Avalanche)のブロックチェーンとスタートアップ企業バルコニー(Balcony)が共同で推進するこのプロジェクトでは37万件以上の不動産証書をデジタル化し総額2400億ドル(約34兆円)に及ぶ資産を「トークン化」する。

対象はベルゲン郡だけでなくカムデン郡やオレンジ郡など計5郡に広がり全46万件・2900億ドル規模の米国史上最大の不動産ブロックチェーン化プロジェクトとして注目を集めている。

「90日かかっていた登記が1日に」

行政効率の劇的改善
従来の不動産登記は、書類の手作業処理や複数機関の確認が必要で完了までに最大90日を要していた。

しかし、ブロックチェーン上で登記情報を管理することで処理時間は1日に短縮される。

さらに、改ざんが不可能な記録システムにより詐欺や登記ミスの防止が可能になる。

オレンジ郡ではこの技術を導入したことで、これまで把握できていなかった約100万ドル(約1.4億円)の未収税を発見。

自治体の財政改善にもつながっている。

Avalancheブロックチェーンが支える「未来の登記システム」

このプロジェクトの技術基盤となっているのはAvalancheのLayer1ブロックチェーンだ。

高速取引(1秒あたり4,500件の処理が可能)と低コストを特徴とし自治体向けにカスタマイズされた管理ツール「AvaCloud」を活用することで役所の職員が簡単に登記情報を更新・確認できる。

登記データは暗号化され誰でも検索可能ながら不正アクセスから強固に保護される。

全米に広がる「不動産トークン化」の波

不動産のブロックチェーン化は、すでにマイアミなど他の都市でも試験的に導入されているがベルゲン郡の規模は他を圧倒する。

専門家は、この成功が他州にも影響を与えると予想しておりテキサス州やフロリダ州でも同様の協議が進んでいる。

ボストンコンサルティンググループ(BCG)の予測では、2033年までに不動産を含む現実資産(RWA)のトークン化市場は18.9兆ドル(約2700兆円)に達するとされ、今回のニュージャージー州の取り組みはその先駆けとなる可能性が高い。

住民の利便性向上と今後の課題

ベルゲン郡のジョン・ホーガン書記官は「住民が役所に来なくても登記手続きが完了する時代が来る」と述べ行政サービスのデジタル化による利便性を強調。

一方で、州ごとに異なる不動産法の調整やサイバーセキュリティ対策(過去には類似プロジェクトでハッキング被害も発生)など解決すべき課題も残っている。

このプロジェクトが成功すれば不動産取引の効率化だけでなく、税収の適正化や資産流動性の向上など経済全体に大きな影響を与えるだろう。

ブロックチェーン技術が「実験段階」から「現実の社会インフラ」へと進化する歴史的な一歩となる可能性を秘めている。

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