PFAS(ピーファス)とは?
PFAS(有機フッ素化合物)は、Per- and Polyfluoroalkyl Substancesの略で、「永久化学物質(Forever Chemicals)」とも呼ばれる人工化学物質です。
水や油をはじく性質があり、熱や薬品にも強いため1950年代から様々な製品に使用されてきました。
PFASが含まれる製品例
•フライパンのコーティング(テフロン加工)
•防水・防汚スプレー
•食品包装材(ピザの箱、ポップコーンの袋など)
•消火剤(特に泡消火剤)
•化粧品(ファンデーション、マスカラなど)
•防護服(医療や消防の分野)
PFASが問題視される理由
1. 分解されにくい(蓄積性)
PFASは自然界で分解されにくく、水・土壌・生物の体内に長期間残留します。結果として食物連鎖を通じて人体に蓄積されていきます。
2. 人体への悪影響
長期的な摂取が以下の健康リスクを引き起こす可能性があると指摘されています。
•がん(腎臓がん、精巣がんなど)
•免疫機能の低下
•肝機能障害
•甲状腺疾患
•ホルモンバランスの崩れ(生殖機能障害、出生率低下など)
•高コレステロール
3. 水源汚染が深刻
一度水に流出すると、地下水や河川などを汚染します。浄水処理施設でも完全には除去できず、そのまま飲料水として家庭に供給されている。
日本でのPFAS汚染の現状
汚染が確認されている地域
2020年以降、日本各地でPFASの水質汚染が確認されています。特に以下の地域で高濃度のPFASが検出されています。
•東京都多摩地域
•沖縄県(米軍基地周辺)
•大阪府・京都府
•神奈川県相模原市
● 多摩地域の事例
•東京都多摩地域では、2020年に水道水から国際基準の10倍を超えるPFASが検出されました。米軍横田基地が汚染源と疑われていますが、原因の究明は進んでいません。
● 沖縄の事例
•米軍基地周辺で高濃度のPFASが確認されており、地元住民への健康被害が懸念されています。泡消火剤の流出が主な原因とされています。
海外の動向と対応
アメリカ
•2023年、バイデン政権はPFASの規制を強化し、水道水のPFAS濃度を10ppt以下にする新基準を発表しました。
•汚染を引き起こした企業(デュポン社など)は、数十億ドル規模の和解金を支払うことが決定しています。
EU(欧州連合)
•EUは2025年までにPFASの全面禁止を検討中。食品や日用品への使用も段階的に廃止する方針です。
PFAS汚染の原因
1.米軍基地や工場からの排水
2.消火訓練で使用される泡消火剤
3.製造過程で排出される排水や排気
4.ごみ処理場からの浸出水
私たちにできる対策
1. 浄水器の導入
家庭用の浄水器でも活性炭フィルター付きのものはPFASをある程度除去可能です。
•逆浸透膜(RO)浄水器が効果的とされています。
•一般的な「ブリタ」のような浄水器でもPFASの除去率は**50%~70%**とされています。
2. ペットボトル水を活用
以前まで地下水由来の天然水は比較的PFASが含まれていない可能性が高いとされていたが、現在は、水質検査のデータを確認する必要があります。
3. 食生活の見直し
•ファストフードや電子レンジ用のポップコーンなど、PFASが含まれやすい食品の包装材はできるだけ避ける。
•フッ素樹脂加工のフライパンは、鉄製などに切り替える。
4. 情報収集
•自治体が公表する水質検査の結果を定期的にチェックする。
•地元の浄水場や水道局に問い合わせて、PFASの検査結果を確認する。
根本的な対策
1.企業への規制強化
PFASを使用する企業に対し、排水や排気の管理を徹底するよう働きかける。
2.法改正の推進
日本でも欧米並みの厳しい規制を求める声を強める。
3.除染技術の開発
PFASを効率的に除去する新技術の研究開発を促進する。
最後に
PFASの問題は「見えない脅威」として広がっていますが、個人レベルでもできる対策はあります。
国や自治体への働きかけと並行して、自分や家族を守るための行動をとっていくことが大切です。
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