エリザベス1世の神秘顧問、ジョン・ディー秘教図書館

※以前書いたブログの続きです

ジョン・ディー(John Dee)は、16世紀のイギリスの学者であり占星術師、錬金術師、そしてエリザベス1世の信頼厚い顧問でした。

彼は数学、天文学、地理学にも精通しており、ルネサンス期の「万能の人(ポリマス)」として知られていますが、その中でも特に神秘学や魔術への傾倒が際立っています。

ディーは、ロンドン近郊のモートレイクに世界有数の膨大な図書館を築きました。

彼の図書館には、シュメール、古代ギリシャ、エジプト、インダス文明など、古代の知識に関する書籍が収められていたとされます。

これらの書籍は、多くが失われた知識や秘教的な叡智を含んでいると考えられていました。

特に注目されるのは「エノク語(Enochian)」と呼ばれる神秘的な言語です。

ディーは霊媒であったエドワード・ケリー(Edward Kelley)と共に、天使との交信を試みました。

彼らは水晶球や鏡を使った「スクライング(透視術)」を行い、天使たちから啓示を受けたとされています。

その過程で、天使が使う「神聖な言語」であるエノク語を授けられたとされています。

ディーは、このエノク語を「アダムがエデンの園で話していた言葉」であり、「バベルの塔の崩壊後に失われた言語」だと考えていました。

彼はエノク語によって天使を召喚し、宇宙の秘密を明かし、神の領域へ通じる扉を開くことができると信じていました。

ディーとケリーは一連の「エノク魔術(Enochian Magic)」の儀式体系を築き、天使との交信記録を『Liber Loagaeth』などの書物に残しました。

エノク語やジョン・ディーの研究は後の魔術体系、特にゴールデンドーン(黄金の夜明け団)やアレイスター・クロウリーにも影響を与えました。

今日でもエノク魔術は神秘学の分野で重要視されており、多くの研究者や実践者がディーの遺産を研究し続けています。

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