UFOみたいな次世代インターネット「Starlink」とは?

SpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるSpaceXは、インターネットサービス「Starlink」を提供し、地上からのブロードバンド接続を実現しています。

今回はStarlinkの主な特徴と展開についてまとめます。

“Starlinkの特徴”

Starlinkは、アンテナの設置だけで山間部や海上、開発途上国などで固定回線や携帯ネットワークが整備されていない場所でも高速なインターネット接続を提供します。通信速度は、一般家庭向けで受信最大220Mbps、上り25Mbpsを実現しています。

遅延も約30msと短く、ビデオ通話やオンラインゲームもスムーズに楽しむことができるようです。

異なる利用状況に対応するために複数のサービスプランを提供しています。

レジデンシャル: 特定の場所での利用に適したプラン。

ローム: アンテナを持ち運んで様々な場所で利用可能なプラン。

船舶: 海上での利用に適したプラン。

Starlink Business: ビジネス向けに提供され、企業・自治体向けの事業継続計画ソリューションや建設現場向けのデジタル化ソリューションなどを含む。

国内では、KDDI、ソフトバンク、NTTドコモがSpaceXと提携し、Starlink Businessを活用して様々な用途に対応したサービスを提供しています。

通信インフラが整備されていない地域での需要に応えるだけでなく、競合他社とも提携を結ぶ形で事業を展開しています。

日本では、主要な通信事業者がSpaceXと協力し、新たなソリューションを提供します。どこにいても高速インターネットを提供することで世界中でコネクティビティの向上に寄与しています。

“Starlinkの日本での利用方法と料金について”

Starlinkは、2022年10月から日本で利用可能となり、家庭向け「レジデンシャル」の「スタンダード」プランが提供されています。以下は、利用方法と料金に関する詳細です。

月額料金:

Starlinkの「スタンダード」プランの月額料金は、6600円(税込)です。別途、アンテナキット代として初期費用として5万5000円がかかります。

申し込みと購入方法:

Starlinkの契約は、ウェブサイトで行うことができます。また、会員制の倉庫型店舗であるコストコでもStarlinkアンテナを購入できるようです。

アンテナキットの内容:

申し込み後に送られてくるアンテナキットには、以下のものが含まれています。

①Starlinkのアンテナ

②Wi-Fiルーター

③電源アダプター

④ケーブル

⑤ベースなど、インターネット接続に必要な機器

設定方法:

アンテナキットには詳細な説明書は含まれておらず、簡略化されたイラストが記載されています。

基本的にはアプリをインストールし、表示される指示に従って設定を済ませることで利用可能です。アンテナは空が開けた場所に設置する必要があり、それ以外の場合は別途アンテナの設置工事が必要となることがあります。

“Starlinkが提供する新機能「Direct to Cell」2024年にスマートフォンとの直接通信が可能に”

現在、据え置きアンテナを使用しているが、2024年には新しいサービス「Direct to Cell」が提供される予定です。このサービスでは、Starlinkと既存のスマートフォンが直接通信できます。

初期段階ではSMSに対応し、2025年以降には音声通話とデータ通信にも拡張される予定です。

Direct to Cellの特徴:

  • 既存のスマートフォンと直接通信可能
  • 初期段階ではSMS対応、2025年以降には音声通話とデータ通信に対応
  • 通信速度はセルあたり2〜4Mbpsで、主に電波の届かない山間部や海上などでの通信をサポート

対応予定の通信事業者:

  • 日本: KDDI(au)
  • 海外: T-Mobile(米国)、Optus(オーストラリア)、ROGERS(カナダ)、SALT(スイス)

Direct to Cellが実現すれば、これまで通信が難しかった場所でもStarlink衛星を介してスマートフォンが利用可能となります。ただし、通信速度はセルあたり2〜4Mbpsと低速であり主に圏外の状況を改善するためのサービスとなります。

“Starlinkと従来のインターネットの違い”

従来の衛星インターネットとStarlinkとの主な違いは以下の通りです。

1. 高度と衛星数の違い:

  • 従来の衛星インターネット: 地上から約3万6000kmの静止軌道(GEO)に数機の衛星を配置。限られた数の衛星が広範囲のサービスを提供。
  • Starlink: 高度約550kmの低軌道(LEO)に5000機以上の衛星を展開。低軌道で多数の衛星が運用され、サービス範囲や通信容量が大幅に向上。

2. 遅延の短縮:

  • 従来の衛星インターネット: GEOの高度による電波の往復に時間がかかり、遅延が発生。
  • Starlink: LEOの高度が低いため、電波の往復時間が短縮され、低遅延の通信が可能。

3. 通信技術の進化:

  • Starlink: Kuバンド、Kaバンド、フェーズドアレイアンテナなどの高度な通信技術を使用。高い通信品質でビデオ通話やオンラインゲームが快適に楽しめる。

4. 衛星間の光通信の導入:

  • Starlink: 衛星同士の光通信に対応。衛星間でデータをリレーすることで、地上局がない場所でも通信が可能。例として、沖縄地域のStarlinkエリアでは、衛星間光リンクが使用されている。

これらの特徴により、Starlinkは高速で低遅延な通信を提供し、従来の衛星インターネットと比較して大きな進化を遂げています。

“「Falcon 9」低コスト、高頻度:Starlinkの成功の鍵か?”

SpaceXはStarlinkを提供するため、独自のビジネスモデルである垂直統合型を活かし、5000機以上の衛星を展開しています。自社製ロケット「Falcon 9」を使用したことに起因しています。Falcon 9は再使用可能であり、低コストで頻繁な打ち上げができます。

打ち上げ後には垂直着陸し、再利用が行われる画期的なシステム。

Starlink衛星は畳まれた状態でロケットに搭載され、打ち上げ時に展開される作りのようで、1回の打ち上げで最大60機ものStarlink衛星を同時に軌道に投入できます。

将来的には、1万機から1万2000機の衛星を打ち上げサービスの提供地域を拡大し、高速で安定した通信を実現することを目指していると述べています。

次世代ロケット「Starship」を活用して、更に進化した3万機の衛星「Starlink V2」の打ち上げも計画されているようです。

Starlinkの取り組みは、通信の未来に大きな変革をもたらすものであり、SpaceXの先進的なアプローチがどれだけ大規模で効果的かを垣間見ることができます。

地球上のあらゆる地域に高品質な通信を届けるこのプロジェクトは、今後のテクノロジーの進化や宇宙探査に対する期待を高めていることを願います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。